・・・といっても、香道のお作法などといった高尚なお話ではありません。
お香が好きな人には多くの場合、いろいろなお香を焚いて、その違いを楽しみたいという思いがあるかと思います。 ものによって好き嫌いがはっきりと出てくることもありますから、私は、たとえば友人から 「よいお香を紹介して欲しい」 と頼まれると、違うタイプのお香をいくつか合わせて紹介します。
そんな友人の一人から以前「どれも同じ香りがする」 と言われたことがあります。
私には意外でした。 「いや、そんなはずはないんだけどなぁ、かなりタイプの違うものを紹介したつもりだし・・・」 と思ってよくよく聞いてみましたところ、その友人のお香の聞き方(嗅ぎ分け方)がちょっと独特なものでした。
この友人は、お香に火を着けた瞬間に鼻を近づけて煙を吸い込み、10秒もすると火を消して、別のお香に火を着ける、ということを繰り返していたらしいのです。 もちろん、こうした(すぐに火を消す)方法によってむしろ前面に出てくる香りもありますし、
お香の楽しみ方は人それぞれですから、「これは間違い」といったものはありませんが、あまり独特なスタイル「のみ」にこだわると、お香の魅力を存分に味わうことは難しくなってしまうかもしれません。
そこでお香の聞き方について、以下に個人的な意見を 3点 記します。
1.お香に火を着けたら、最低 3分はそのまま煙を立たせる
多くの場合、火を着けてしばらくは煙が多く出るばかりで、香りが十分に立ちません。少なくとも熾火が安定し、お香本来の香りが立つまで待ちましょう。
2.煙を直接吸い込むだけでなく、少し離れた場所から「も」香りを味わってみる
チベット香の場合、治療目的で使用する場合には煙を直接吸い込むことが推奨されていたりもしますが、普通に楽しむ場合は、少し離れた場所からも香りを味わって欲しいと思います。煙と一緒に前面に出てくる香りの間から、その奥にひそんでいる微かで味わい深い別の香りが見つかると思います。
3.火を消した後も、その余韻を楽しむ
チベット香は香りがやわらかいため、長々と匂いが残ることはありませんが、それでも火を消してしばらくは香りが残ります。焚いているときとは違った印象が感じられることも多いと思いますので、それを楽しんでいただきたいと思います。