チベット香ってどんなもの? 他の国のお香とどう違うの?
と、まだチベット香を使ったことのない人から質問されることがあります。いざ答えるとなるとなかなか難しい質問ですが、たいてい以下のように答えています。
- 形状 -------
インドの一般的なスティック香には竹芯があり、お香はその周りに塗り固められている形になっていますが、チベット香にはそういった芯がありません。この形状のお香を 「ドゥープ香」 といい、日本の一般的なお線香もこれに当たります。
ただ、日本のお線香と比べると チベットのお香はやや太めです。ものにもよりますが、一般的なチベット香は 5mm前後の直径があります。
- 色 -------
日本のお線香というと緑色を連想しますが (もちろん違うものもあります)、チベットのお香は基本的に茶褐色をしています (エンジ色のもの、緑褐色のものもありますが、少数派です)。
この点、インドのお香では「これ」 という色を挙げるのが難しいですね (香りも多種多様で、様々な楽しみ方ができる点は絶対的な長所だと思います)。
- 固さ -------
日本のお線香は、細いにも関わらずかなり固く、それでいて適度にしなりもあって丈夫です。
インド香も、竹芯がある場合は当然固い造りになっています。
その2つに比べると、チベット香は軟らかいです。普通に触ってボロボロと崩れるようなことはありませんが、乱暴に扱うと割と簡単に折れてしまいます。
- 香り 1 (着火前) -------
日本の量販型お線香は火を着ける前から強く匂います。
インドのお香は更に強烈で、そのままでも十分 芳香剤として使えてしまいそうなほどです。
それに対し、チベット香は火を着ける前の状態だと あまり匂いません(なかには割と匂うものもありますが、いずれもハーブの匂いで、ものによっては薬草の 渋〜い匂いだったりもします)。そのまま芳香剤に使うのは難しそうです。
- 香り 2 (焚いている時) -------
日本の量販型お線香は火を着けるや否や「お仏壇の香り」 がしっかりと漂います。また、一部の高価な(日本の)お香では、本当に上品で濃密な香りが漂ってきて、酔い痴れてしまいます。
これがインド香になると香りは更に強くなります。しかもその種類は多様です。強烈に甘かったり、強烈にスパイシーなものがあるかと思うと、割とあっさりと上品なものがあったりして本当に奥が深いです。
これらに比べると、チベット香の香りは 「素朴」 です。
バニラやココナッツの香りがするわけではないので、はっきりとした香りを楽しみたい方には物足りないかもしれません。 ・・・しかし これは 化学的な香料を一切用いず、天然素材のみで作られたチベット香の 「長所」 でもあります。 この 「素朴さ」 こそが、私のような者にはとても心地よいのであって、また深い癒しを与えてくれるものなのです。
- 香り 3 (消火後) -------
日本のお線香は半日から1日程度、部屋に香りが残るように感じます。
これがインド香になると、ものにもよりますが、2〜3日は残る感じです。
他方、チベット香は数時間程度で香りは消えてしまいます。
燃え尽きた灰についても、日本のお線香やインド香にははっきりと匂いが残りますが、チベット香の灰にはほとんど匂いが残りません。
ですから、チベット香は、部屋や洋服に匂いを残す用途には不向きです(--- そういった用途にはインド香をお勧めします。種類が多いので好みの香りを見つけるまでが大変ですが、焦らず探せば きっと「お気に入り」が見つかるはずです)。